UMINY: 05/2009

5/31/2009

ドキドキ


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わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。

またわたくしは、はたけや森のなかで、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石いりのきものに、かわっているのをたびたび見ました。

わたくしは、そういうきれいなたべものや、きものをすきです。

これらのわたくしのおはなしは、みんな林や野原や鉄道線路やらで、虹や月あかりからもらってきたのです。

ほんとうに、かしわばやしの青い夕方をひとりで通りかかったり、11月の山の風のなかに、ふるえながらたったりしますと、もうどうしてもこんな気がしてしかたないのです。ほんとうにもう、どうしてもこんなことがあるようでしかたないということをわたくしはそのとおり書いたまでです。

ですから、これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなところはわたくしにもまた、わけがわからないのです。

けれども、わたくしは、これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません。

宮沢賢治

『注文の多い料理店』序文全文

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心臓がバクバクしました。

雨の日の


散歩もまた一興。

緑の香りが一段と濃く感じられて気持ちがいい。ずんずん歩けます。



でも実はこれが目当てだったりして。

かわいらしい店構えのメキシカンにて、「ふらっと」立ち寄り栄養補給。


メキシコ料理によくのっかっている生野菜(レタスとかキャベツとかラディッシュとか)、なんでこんなにおいしいのでしょう。

いくらでも食べられそうです。

そう言えばわたし、トルティーヤが作れます。メキシコ人直伝。彼女の作るトルティーヤは市販のものとは食感がまるで違ってものすごくおいしいのです。子供たちは彼女の作ったトルティーヤしか食べないそう。ウチでも作ってみたいと思い教えてもらいました。
いつか機会があったらご紹介します。(たぶん)

お店を出ると雨は上がっていました。


腹ごなし散歩はつづくどこまでも



5/09/2009

夢のはなし


読みたくない本がある。

聴きたくない音楽がある。

観たくない映画がある。


ああ、でもそうだった、夢は選べないのだった。


自分の中で封印していたことが、
わらわらと溢れ出てくる。

その時のことを思い出して、
「だから思い出したくなかったのに」と独り毒づいてしまう。


でも不思議なことに、奇妙なことに、
「そこ」に思いっきりぶつかってみたい時が来る。
押さえきれない何かに突き動かされる瞬間がある。

観たくないけど観てしまう「ホラー映画」のように。


思い切って、目を見開いてみたら、


案外、大したことはなくて、

あれほどとんがっていて、固くて、冷たいと、思い込んでいたものは、
実はあっけないほどシンプルで、

「やっぱりピエロの下は人間じゃん」と当たり前のことに気付くような、
がっかりするけどものすごく安心するような。


そんなわたしでも、


読みたくない本はある。

聴きたくない音楽はある。

観たくない映画はある。


そうだ、こんな夢なんかみたくなかったのだ。


今は無理なのだ。今じゃなくてもよいのだ。
そして「今じゃなくてもいい」ということを、
認めてしまったって、
受け入れてしまったっていいのだ。

少しずつ、少しずつ。
断片を、断片を。

誰にわずらわされることなく、誰にせかされることなく、

自分だけがわかっていればいい、自分だけの「速度」があるはずだ。


周りに惑わされることなく、
ぐらぐらすることなく、
自分だけの「自分」がそこに見えるとき、

それは実は、
「他」とつながっている瞬間。


そこは笑いに満ちあふれていて、


とても温かい。

温かい。